コラム

2021.06 京都二十四節気…蘇るか『芒種』の山野、豪雨に負けないスマート農業『夏至』

梅雨

 『芒種』とは、米や麦の先の尖った殻を指す。直接触れると、チクチク、イガイガする所謂イガっぽい種子である。『ボウシュ』と読み、漢字では禾編の『禾(のぎ)』でもある。
 秋蒔きの麦が実を付け始め、秋収穫の稲を植える田植えの時期であることから、6月5日前後を『芒種』としてきた。因みに沖縄では、この時期を『スーマン・ボースー(小満・芒種)』と呼び梅雨の走りとしてきた。
 麦が収穫された後の田んぼには水が引かれ、子供も借り出して一家総出で田植えが行われていた。水の照り返しが眩しい。オタマジャクシやヤゴ、水生昆虫が泳ぎ、時に小鮒やメダカもいた。農薬が散布される迄の穏やかな田園風景であった。

早乙女

 そんな農村風景も高度経済成長期にはすっかり変容した。農村に、働く人が少なくなったのである。小型の耕運機が導入されたのはまだしも、効率追求の殺虫剤と化学肥料の農村に一変した。『芒種』が『亡田』に変わったのだ。
 それから50年、ようやく食の安全に気づき始め、有機農法をベースにした食の安全意識が徐々に復活しつつある。お米も野菜も美味しくなり、鳥も虫も戻ってきた。桂川でも鴨川でも小魚が泳ぎ、人々が初夏の川風を楽しんでいる。

 『芒種』から2週間余り、6月21日が『夏至』。一年で最もお昼の時間が長い日である。本格的な夏の到来である。二十四節気は大陽暦にもとづいているから、例年日にちは殆ど変わらない。ただ年々暑くなっているだけである。既に1か月前の5月中旬には梅雨入り宣言が出され、最高気温35度・36度は当たり前のこととなり、お昼が一番長いというよりは、一番雨が降る時期でもある。梅雨と言えばソフトだが、長期にわたる集中豪雨。
 あちらこちらで、山が崩れトンネルが崩れ堤防が決壊する。年中行事のような悲惨な出来事。残念ながらいつも事後対応、避難情報の言葉を変更して、お茶を濁している…。住民は、ハザードマップと照らし合わせて、身の安全を自ら確保するより仕方がない。

農耕

 かつて、「日本列島強靭化計画」が叫ばれたが、もはや自然の威力には立ち向えないと悟ったのか、最近は誰も口にしなくなった。人工的な花園より、野草の美しさ野生の逞しさ、そして田畑や森林の治水効果に気づいたのだろうか?
 自然に立ち向うのではなく、自然と仲良くすること…自然を活用するということに、気づき始めたのである。
 耕運機をはじめ、ロボットやドローン等を駆使したスマート農業が開花するまでは、まだ少し時間が必要なのだろうが、確実に森も田畑も復活しつつある。(M)