コラム

2021.05 京都二十四節気…緑萌えいづる『立夏』、小さな満足・大きな不安の『小満』の5月

新緑

 5月は、一年で最も過ごしやすい時期かと思っていたが、最近はもう4月下旬から夏のような気温の日々が続く。それでも茹だるような京都の7・8月に比べると、随分と暮らしやすい。寒くもなく暑くもない。五月晴れの日差しは眩しく、吹く風は肌に心地よい。それは、時に爽やかに時に濃厚な香りを放つ薫風のおかげである。
 今年の『立夏』は、5月5日である。日本では『子供の日』。子供の日と言えば、法律で定められた祝祭日でGWの最後の日としてよく認識されていて、いかにも季節に似合った祝日のネーミングであるが、元々は『端午の節句』である。端は、端っこというより物事の始まり、午の月(馬月…旧暦では5月)の最初の日と、いう意味だそうで…。それが何故子供の日になったのか諸説あるが、要は成長とか、若々しい、爽やかというイメージに合致したからなのだろう。
 『立夏』は、春から夏への季節の変わり目を生き生きと表現した季節の言葉である。

びわ

 大陸から黄砂を運んできた4月の季節風がおさまり、樹木の花粉に代わって、新緑の匂いを漂わせる。梅、桃、桜の花々が散って果実となり、華やかな春との別れを告げた後は緑の季節であり、夏の訪れ…『立夏』である。まだ散り残った花ビラを押しのけるように、若い木芽が新緑の若葉へと成長していく。
 その若葉の成長と合わせて、この時期はあらゆる果物が美味しくなる。イチゴ、トマトに続いて、サクランボ、琵琶、桃と成熟する。さらに品種改良された柑橘系の八朔、伊予坩、ポンカンなどがきれいに店頭を彩る。
 春から夏への移行は、花々からフルーツの熟れた香りによってもたらされる。

 その2週間後の5月21日が『小満』である。草木が成長し、前年蒔いた種子が果実を稔らせ始め、ほっと一息ついて、先行き不安ながらも少しは満足するという健気な気分が表現されている。春の果実もいつの間にかあまり見かけなくなり、代わってスイカやメロンなどの大きな果実野菜が、店頭に並ぶようになる。公園や街路の緑陰が心地よい。

小満

 しかし、気候変動はこの時期から姿を現す。小さな満足は大きな不安となる。事実近年、桂川-嵐山の氾濫、由良川―福知山の洪水など過去のことになっていた風水害が、随分と身近になってきている。観測史上初の風水害が毎年起こっても不思議ではない。鴨川沿岸の高級住宅が、いつ“岸辺の家”に代わってもおかしくない環境になってきているのだ。

 緊急事態宣言終了後2週間を経るコロナ禍と合わせ、5月21日が『小満』ではなく、『大不安』にならないよう、気をつけねばならないのが2021年5月の現実か!(M)