コラム

2020.11 京はやましろ、川の町…神宿る甘南備山は南の起点、標高221mの頂きから見る京都盆地

甘南備山展望台

 京都盆地は、東西南北山に囲まれ大きなお盆のような形状をしている。しかし、南の端は、ちょっと分かりにくい。伏見の南には、元々は巨椋池と言う大きな池があったが、今は干拓されて区画整理された田畑になっている。その裂け目を縫うように、桂川や鴨川、木津川が流れ、ここで三河川が合流して淀川となる。感覚的には、京都盆地はこの辺りで途切れてしまうからである。
 しかし、地理的にはこの三河川合流域のさらに南、学術研究都市の京阪奈丘陵まで盆地は続く。今はコロナ禍で嫌われている言葉だが、学研都市が着手された1980年代当初は、地域ごとにxxxクラスターとネーミングされ、葡萄の房のように自然の中に散在する環境に馴染んだ都市づくりが計画されていた。京田辺クラスターでは、1986年開学した同志社大学を中心に落ち着いた自然の中の町づくりがみられる。そのキャンパスの西側の山が甘南備山である。

 近鉄新田辺駅から徒歩30分で登山道口へ。水晶の谷や「吉やんの滝」等のポイントを巡って、低山ハイキングを楽しむこと小一時間、標高わずか221mの頂上にある『神奈備神社(元々からの名)』に到着。

甘南備神社

 飛鳥時代以前(…地の人によると弥生時代?)からあったと伝えられる神奈備神社は、「神宿る」という呼称通りの古色蒼然とした社かと思えば、意外に新しく小ざっぱりしている。
 向いの展望台からは、北を真上にした教科書通りの平安京-京都盆地を見渡すことが出来る。平安京の北の起点とされる船岡山と、南の起点とされる甘南備山を結ぶラインが浮び上り、それが都の中心であった朱雀通り(現大宮-千本通)であったかと、思い起こされる。天気の良い日に船岡山から眺めれば、建都当時南の目印としていた大きな『白岩』が、今も甘南備山の中腹に光って見えるという。

一休寺

 少し北へ足を延ばして薪町まで行けば、甘南備神社の遥拝所として建立され、能発祥の地ともされる薪神社が。そして薪能で縁があったのか、隣接して一休さんのお寺として有名な酬恩庵一休寺が在る。11月21日の一休さんの命日には毎年開山忌法要が行われ、その頃には京都市内より早く色づく紅葉が、枯山水の庭にひと時鮮やかに映えている。(M)