コラム

2018.05 新京都八景…「ISSEY MIYAKE KYOTO」はんなりと今風Shopに甦る京町家

 京都もまた少子高齢化に見舞われている。居住者の減少にも関わらず、地価は高騰し続けているという奇妙な現象によって、その影響は他都市より深刻かもしれない。水が低きに流れ込むように、空いたスペースに今多くの外部資本が流れ込んでいる。とりわけ他国の富裕層による投資対象としての高級マンションや別荘代わりの邸宅は、居住者不在によって空洞化の大きな要因となり長期的には都市文化の衰退の元凶となる。加えて、急増する外国人観光客対象の無認可〝民泊”は、地域文化を劣化させ、コミュニティそのものを解体してしまいかねない。

このような悲観的な情況が進行しつつある一方で、町家の再生も取組まれ、町家や路地の良さを生かした今風アトリエや工房などのこじゃれたShop、ちょっと高級感のある食事処として甦生している。
特に、市の中心である中京界隈では、洗練されたアトリエや工房ショップを見かけられるようになってきた。古い町家の街並みに違和感なく溶け込みながら新しさを醸し出しているこれらのお店は、デパートやショッピングモールとは違ったたたずまいによって、日常の中の非日常ともいえるようなエリアを創出している。

 柳馬場六角上るに最近オープンした「ISSEY MIYAKE KYOTO」は、そのモデルケース。極く普通の生活道路に面したシックな町家の外観を保ったまま、大きな白暖簾が雰囲気を作り、店舗の奥には土蔵の内部を改装したギャラリーが開設されている。そして、隣接するパリのバッグ専門店やNYのチョコレート専門店と一体となって、はんなりした輝きを放っている。ミラノや銀座のような奇をてらったブランドショップではなくて、市井に馴染みつつ控えめに存在を誇示する町家再生なのである。(M)

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